表紙
平成24年度から東京都のモデル事業として市内の小学校6校すべてに特別支援の場が設置されました。もともと半分の3校に特別支援学級があったので、そこを拠点校として、あとの3校に先生が巡回指導するスタイルです。平成28年度からはこれが本格施行となり、狛江市では合計152名の子ども達の指導が始まりました。
この度はリーブス最終号を手にとってくださりありがとうございます。
私どもは平成21年より活動を始め7年間、個性豊かな子ども達の相互理解のため、学期に一度、狛江市内の緑野小学校・第五小学校・市内小学校特別支援学級・支援教室、及び、関係機関等へ当事者やその家族の実際にあったお話しをテーマに「Leaves(はっぱたち)」を配布してまいりました。活動8年目となる平成28年は、都内の各小学校で特別支援教室が動きはじめました。教育現場も様々な変化を経ており、困っている子ども達への相互理解、共通認識が以前に比べてずっと身近に感じられるようになったのではないかと感じています。今回の最終号では、この7年間で伝え続けてきた思いを冊子にいたしました。クラスの中に必ずいる子ども達です。この冊子がどこかでお役にたてましたら幸いです。これからも、個性豊かな子ども達の成長を見守り、分け隔てなく育っていける環境が直ぐそばにあることを願って、ごあいさつに代えさせて頂きます。
子ども達の個性と特性
様々な困りを抱えている子ども達のことを、リーブスメンバーがご紹介します。専門家ではないけれど、普段困ったり、ハードルを乗り越えようと奮闘している子ども達を見守っているママの体験談です。
ふたばに通う子ども達が、何に困っているのか?どうしてそうなっちゃうのか?
その世界を少しだけ覗いていただければと思います。
☆ここでご紹介するのは、様々な特性のほんの一部です。また個性は、一人ひとり違います
ー2ー
学習障害とは、
全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する等の能力のうち特定のものが不得手で、
学習や生活に困難がある状態。です。
そう言われても、「目が悪いわけじゃないのに読めないとか、頭が悪いわけじゃないのに書けないとか計算ができないって、いったいどういう事だろう?」と思う人がほとんどですよね。
さて、あなたは右利きですか?左利きですか?
字を書いたり、はさみを使ったりするのは、利き腕を使いますね。右利きの人が左手で字が書けない、箸が使えないのは、左手に障害があるからではないですよね。
「今日1日利き手を使わないで、勉強(もしくは仕事)をしてください。」と言われたら、あなたはいつも通りにノートをとったり、漢字の書き取りをしたり、作文を書いたりできますか?
私だったら、いつもの倍は時間がかかります。そして、ノートも漢字も作文も後から自分でも読めないような汚い字でいっぱいで、書いた字は恥ずかしくて他の人に見られたくないし、一日が終わる前にへとへとに疲れてしまうでしょう。
学習障害の人が、学校で他の子と同じ条件で勉強をするのは、こんな感じだと思います。もし、家族や担任の先生が子どもの学習障害に気づかなかったらどうなるでしょうか。
左利きという言葉を知らずに、左利きの子どもを育てるとどうなるか、考えてみてください。「左の手でお箸を持っちゃダメだよ。」「どうしてみんなと同じように右手で書かないの?」「左手で絵を描くのは禁止!」「どうして書くのが遅いの?」「もっとていねいに字を書きなさい」「きれいに書けるように、漢字を百回ずつ練習しなさい!」「はさみもうまく使えないの?どうして?」その子のためを思ってまわりの大人がかける言葉の一つ一つがその子にどんな影響をあたえるでしょうか?左利きの子に一番必要なことは、まわりの大人が左利きだということに気づき、受け入れて、必要なことをサポートしてあげることですよね。右利きに矯正するという方法もありますが、左手で書くことを認める。左利き用のはさみを用意する。字がうまく書けなくても大目に見る(字は右利き用に作られているので)。
などのサポートがあれば、左利きでも勉強や仕事をすることができるようになります。欧米でのディスレクシアは全人口の10~15%、日本では学習障害のある子どもが5%程度という報告があります。(日本語は漢字かな混じりのため、英語より読みやすいようです。)もしこれだけの子ども達(もちろん大人になっても)が自分に合っていない方法で勉強しているのだとしたら、本当にもったいないですよね。義務教育の9年間、さらに高校での3年間、学習障害と気づかれずに毎日学校でつらい思いをしている子どもがたくさんいます。もし身近に「あれ?この子読むのが(書くのが・計算が)苦手みたい」と思う子がいたら、ぜひ声をかけてあげてください。
-3-
失読症 ディスレクシア
一文字ずつならば何とか読めるけど、読むのに時間がかかるので、長い文章になるとなんの事が書いてあるのかわからなくなってしまいます。漢字は細かい部分がよくわからないので読めません。音読の順番が回ってくると、つっかえつっかえしか読めないのでスゴク恥ずかしいです。字を書いても見直しができないから、作文や宿題はバツばかりです。テストは答えはわかるのに、問題を読むのに時間がかかるから、半分までしか解答できません。
こうしたら いいかも
授業中は先生の話や友達の発言を聞くことに集中しよう。内容がわかれば、発表だってできるはず。音読は免除してもiPadやデイジー教科書を使うと、図書館で本の音声データを借りて聞いたり、教科書の読み上げ機能を使って勉強できるよ。色つきの透明シートをかぶせると読みやすくなる子もいるよ。読みやすい色は人によって違うみたい。
書字障害 ディスグラフィア
例えば、右利きの人が左手で書くみたいに、書くスピードがスゴク遅いし、線も曲がってしまい、きれいな字が書けません。一所懸命ノートを書いても読めないような字ばかりで悲しくなります。漢字のテストや作文もいつもバツばかりです。先生にも親にも友達にも書いた字を見られたくない。もう何も書きたくないから、学校に行きたくありません。
こうしたら いいかも
ノートを書かずに、黒板をデジカメやiPadで撮影して残そう。漢字の宿題は量を減らしてもらおう。ドリルの問題はノートに書き写さないで書き込み式にしよう。作文はiPadの音声入力を使って書いて、提出するときは紙に清書しよう。
算数障害 ディスカリキュリア
算数の時間に、頭の中の計算機を使うんだけど、私の計算機だと正しい答えが出ません。指を使えば何とか計算できるけど、数字が100とか1000とかになると、どうすればいいのかわかりません。自分で頑張っても、ものすごく時間がかかるので、みんなからどんどん遅れてしまいます。最近は難しすぎて、先生が言っていることがぜんぜんわからなくなってしまいました。
こうしたら いいかも
授業で本物の計算機を使わせてもらおう。計算して答えを出すことに重点を置かず、正しい式を書くことを目標にしよう。計算ドリルなどは問題の数を減らしてもらおう。算数ができなくても他の教科ができればOKと考えを変えよう!
-4-
ADHD。日本語で表記すると「注意欠如多動性障害」。多動性・衝動性と注意力の障害を特徴とする行動の障害ということです。ざっくり言うと「じっとしていられないあわてんぼう」でしょうか。問題行動が表れるのは脳の機能に違いがあるかららしいと言われています。そして、その表れ方は様々です。ここでは刺激に対する問題の一部をご紹介します。
無意識に自分の身体を触る人は多いと思います。集中して考える時やぼんやりしてる時に、指をこすりあわせる、あごを触る、髪を触るなど。これはすべて無意識に行う自己認証行為なんですって。くすぐったくない、痛くない、絶妙な心地よさで人は自分の脳に刺激を与え、今ここにいる自分を確認しています。この、絶妙な心地よさの感覚が人によって全く違い、特に発達に問題を抱える場合には過敏な人、感じにくい人がいるのです。
過敏な子は撫でられたりハグされるのが苦手です。いい子ね、なんて頭をなでられるとぞわぞわ不快になってしまいます。愛情を表現したママの気持ちは行き場を失います。抱っこが嫌いなんて、私の抱っこが下手なのかしらと悲しくなるでしょう。
感じにくいタイプにとって、世界はモノ足りません。刺激を求めてくるくる回転するのをやめなかったり、急に走り出したり。自分が起こす風の勢いが大好き。足を踏み鳴らすと体中に振動が伝わっていい気持ち。強い刺激でないと感じにくいので、お友達と手をつなぐ時、ギュ??ッとにぎって泣かれてしまい、ママに抱きつくのも勢いつけて飛びかかり、乱暴ね!と叱られてしまいます。ですが、叱責は何の効果もありません。悪気はなく「今、ここにいる自分を感じたい」だけです。 そして、どちらのタイプの子も、そんな違いがあることに本人は気づきようもなく、家庭、学校で理解されず、自分の何が人を怒らせたり悲しませてるのか全くわからないまま生活しています。
いかがでしょう。悪い子がいる訳ではなく、脳の刺激に対する設定の違いに問題があります。問題への気づきや行動の修正は、環境を整えること、繰り返しの指導や経験値によって可能になっていきます。身体の一部を動かす事で落ち着けるなら、授業中に練り消しゴムを持たせたり、椅子をバランスボールにすることで勉強に取り組める子もいます。特別支援教室ではよい行動を繰り返し褒め、(友達とケンカしなかった、椅子に座っていられた等)好ましい行動を定着させていきます。一人ひとりにあった多角的な指導で、子どもは出来ること、わかることが増えていき、暴れん坊と言われた子どもが高学年になる頃には乱暴な行動が減った、というパターンはよく聞きます。また、年齢が大きくなれば携帯のリマインダーやメモを駆使して失敗を減らす工夫ができます。
自分を知ること、まわりに知ってもらうことが、より良い繋がりへのきっかけになりますように。
ー5ー
<問題行動があった時は>
●すぐ言う/時間がたつと、どの行動を言われているのかわからなくなってしまいます。
●環境/テレビを消し、玩具をどかし、気になるものがない静かな環境で話します。
●短時間/集中が続かないので「5分だけ話そう」など、見通しを伝えると従いやすい。
●自発的に/どうするべきか一緒に考えて、自分の言葉を実行できるように大人がフォロー。
●約束の確認と予告/出かける前に「手をつなぐ」「飛び出さない」等の行動の確認、
駅の数や到着時間など目安の予告をすると、我慢しやすくなる子もいます。
※よい行動が定着するまで根気よく、出来た時は誉めます。すると定着しやすいそうです。
ー6ー
皆さんはアスペルガー症候群という名前を聞いたことがありますか?近年ずいぶん知名度も上がり、1度は聞いたことがあるという方も多いと思います。具体的にはどんな人を思い浮かべますか?風変わりな天才?空気の読めない博士偉人などによくたとえられますが、実は身近にもたくさんいます。ちょっとまわりの人と感覚が違っているために苦労している仲間を少しでも多くの人に理解して欲しくて、過去のリーブスからアスペ君の一部をご紹介します。
《アスペルガー症候群(AS) の特徴》
言語
難しい言葉を使ったり、大人びたしゃべり方をしたりする。話し相手を無視した一方的な会話、言葉の意味を字義どおりにとらえて、たとえやユーモアが通じにくい。
対人関係
風変わりであったり、一方的。冗長で無神経な方法で他者と接触しようとする場合がある。逆に、他者に言われるままに動き、自分の気持ちをうまく表せない。など、、、
こだわり
興味の幅が狭く、深い。興味を持ったものの情報や事実を集めるために膨大な時間を費やす。
感覚
聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚などで過敏さや、鈍感さが見られる。
その他
手足や指先の動きに不器用さがよくみられる。
その時々(場面)の切替が苦手
・こうでなければならない!とまじめすぎたり、形(予定)通りにしようとするため、少しの状況の変化に対応できず、パニック(怒ったり、泣いたり)になることがある。
・先の見通しを立てるのが苦手で不安になる。
・「適当に」や「ほどほどに」が苦手・・・・
?体の不器用さとは?
全身運動や微細運動などがうまくできず困っている状態。全身運動は、なわとび(手で縄をまわしながら、タイミングよくとぶ)やラジオ体操(手と足、右手と左手などの動きが別々のものを統一して行う)、ボール投げ、ドリブル(まりつき)、自転車に乗るなど。
微細運動は、ボタンかけ、ちょうちょ結び、お箸を使うなど。
これらのことが不器用だと、ボタンがうまくかけられなかったり、なわとびが上手に跳べなかったり、靴の左右を間違えたりする。学校の教科で言うと、体育がうまくできない、音楽の演奏が苦手、図工で道具を使うのが不器用・・・など
スティーブンスピルバーグ(映画監督)
ディスレクシア(失読症)
60才の時にディスレクシアと診断され、学生のころ、勉強が遅れていたことなどについて「謎が解けた」と振り返っています。当時は学習障害のことが知られていなかったため、中学校でイジメを受けたこともある。学校の卒業が数年遅れたが、10代前半から撮り始めた映画が心の支えとなったそうです。
栗原類(モデル・タレント)
ADD(注意欠陥障害、ADHD のひとつ)
ニューヨーク在住の8才の時に発達障害と診断を受ける。学校での生活や、母親と二人三脚で苦手な衝動性のコントロールやコミュニケーション能力を訓練して、モデルやタレントとして活躍しています。著書"発達障害の僕が輝ける場所を見つけられた理由”で、今までの経験を綴っています。
勝間和代(経済評論家、公認会計士)
ADHD(注意欠如多動性障害)
公認会計士に最年少で合格し、たくさんの著書を持つ方ですが、本人によると忘れ物なくし物はあたりまえ、食べこぼして服を汚したり、つまずいてケガをすることも日常茶飯事だそうです。大事な物はカバンにひもでぶら下げたり、チケットは直前にスタッフから受け取るなど、周囲の人にみずから症状を明かすことで、適切なサポートをしてもらえるよう心がけているそうです。
トムクルーズ( 俳優)
ディスレクシア
bとd、pとqの区別が付かないなどで、小学生の時から学習面で苦労していて、台詞を覚える時は台本をテープに録音してもらい、耳から聞いて覚えたそうです。伏せていた症状を2003年に公表したことで、ディスレクシアの知名度が高まりました。また世界中のディスレクシアの人達の励ましになり、その後他の有名人が公表するきっかけとなりました。
スーザン・ボイル(歌手) 黒柳徹子(タレント、作家) マイケルフェルプス(水泳選手)
ウィルスミス(俳優) ウーピーゴールドバーグ(女優)
発達障害について勉強するようになったころ、インターネットで発達障害について調べてみました。レオナルドダヴィンチ(ディスレクシア)、エジソン(ADHD)、アガサクリスティ(ディスレクシア)、ウォルトディズニー(ディスレクシア)、アインシュタイン(アスペルガー)、スティーブジョブス(アスペルガー)等々、そうそうたる有名人が発達障害だったかもしれないという情報が山のようにあり、私はその時初めて「世の中は発達障害の人が作った物であふれている」ということを知り、本当に驚きました。長所を生かして社会の(世界の)役に立てることができるなんて素晴らしいですよね。もし彼らが必要なサポートを受けられず、二次障害(不登校やひきこもり、うつ病など)で社会に貢献できなかったとしたら・・・・・・
モナリザはなく、電球は発明されず、ディズニーランドもETもジュラシックパークもない、iPhoneもiPadもない、今とは全く違う世界になっていたはずです。発達障害に限らず、子どもはできない事ばかりを指摘されると、得意分野で発揮できるはずの「本来持っている力」を失う可能性があるそうです。だからこそ、できないことにフォーカスするのではなく、できることに気がついて励ましたりサポートすることが大切ですよね。発達障害の有名人を知ることで、そんな風に思ってくれる人が一人でも増えたら嬉しいです。
ー9ー
このたびは「Leaves 最終号」をお読みいただき誠にありがとうございます。これまで編集に携わってきたメンバーの思い、リーブス会員さんの思いがぎっしりとつまった冊子です。みなさまのお心に届いていましたら幸せです。
私が発信を始めようと思ったのは子どもが幼稚園の頃でした。「広汎性発達障害」と初めて聞かされ分からないことだらけで「治るのですか?」と聞いた時「持って産まれた特性でお子さまの個性。本質的な部分は変わりません。ただ、療育や支援を受けることで生きやすくなります。二次障害を起こさないために、周りの方々の理解や環境が大切です。」と言われたことがきっかけでした。
理解を求めつつも公にしたら偏見の目にさらされるのではないか、子どもの将来はどうなってしまうのか、と悩むお母さまも多くいました。親でも良く理解できていないのに、周りの人たちにどう理解してもらえば良いのか?慌てて本を読みあさり、講演会にも幾度も足を運びました。でも、そこに居るのは当事者やその保護者、療育・関係機関の方ばかりでした。どれだけ周りの方々に理解してもらおうと思っても、その枠から外への情報や発信がないのです。今でこそ、テレビでカミングアウトされる芸能人もいて耳にすることも増えてきましたが、どんな困難さを抱えているかは個々で違いがあり、理解が浸透しているとは言い切れないのが現状です。でも、身近に確かにいる子どもたちで、無理解の中で二次障害(躁鬱・ひきこもり・不登校・睡眠障害・チック・円形脱毛など)を抱える子もいます。困った子、ではなく困っている子なのですが、周りの人たちは困っているということが分からなくて怒ったり、その子のためだと思って注意する場合があり、もしかすると、関わる相手も困っているのではないか?と思いました。この子たちがどんな理由でどんなふうに困るのか、など、本当にあったお話を「Leaves(リーブス)」に載せ発信していくことで、お互いに困ることが減っていき、相互理解につながるのではないかと思いました。幸い、同じ思いの仲間がいました。
始めた当初は、偏見の目にさらされ、あらぬ誤解をされてしまわないかと不安に思う保護者もおり、どんな編集をしていくか、個人が特定されない方法、どうすれば読んでくださる人に伝わるかなど、校長先生の配布許可から始まり色んなことがありました。1年、2年と続ける中で、通常級の保護者様から「リーブス読んでいます。」「いいですね。」「リーブスを読んで、ふたばに来ました。」など、温かい言葉をいただくことも増えてきました。お子様の特性を知るきっかけになれたらとの思いもありました。相互理解に、少しはお役にたてたでしょうか。
歴代の校長先生の深いご理解とご厚情によりLeaves の配布を継続することができました。これまで支え励ましてくださった皆様、ずっと一緒に頑張ってきたメンバー、ご愛読くださったみなさまに、心の底から感謝の気持ちでいっぱいです。長い間、本当にありがとうございました。
-10-
リーブス創刊号が出た年は、私が狛江市に異動してきた年でした。なので、私と「リーブス」は同級生の8年生です。保護者の有志で紙面を作成し、理解啓発を図るために配布すると聞いた時、なんてパワフルですごい保護者さん達だろうと感じたことを覚えています。 あれから、8年。当時1年生だった子が中学2 年生となり、通級も巡回指導が始まり、名称もふたば学級からふたば教室へと大きく変わりました。当時20人台だった児童数も今では73人と多くの児童に利用してもらえるようになっています。様々な困難や悩みがありましたが、リーブスはじめ多くの保護者に支えられて今があることを実感する日々です。多様な紙面があった中で、私が大好きなのは、学校や友達のお母さんの配慮で助かったエピソードを、まとめた回です。
様々な大変さや苦労がある中で、よかったストーリーや「ありがとう」を伝える内容が素敵で、様々な所で宣伝したり自慢したりしています。学校⇔家庭、教師⇔保護者⇔子ども。 それぞれ立場が違うと見える景色も違います。それぞれの思いや考えがあり、時にぶつかりあうことすらあります。そんな時に、リーブスのことを思い出します。立場が違えど、「子どもの笑顔のため」という目標は同じはず。「ありがとう」 の気持ちを持ちつつ、それぞれの立場で「できること」「できないこと」を率直に話し合うことこそ、「合意形成」 の一歩なのではと思っています。保護者も教師も、一緒に悩み、困り、笑いあえるチームでありたいと思います。多くの学びをいただいた「リーブス」さんに心から感謝します。
そして、「ありがとう!」。
代表 C.H
お母さん達で作られたLeaves を最初、目にした時、全く知らない通級の世界を可愛らしいイラストや漫画で優しく語りかけるようにわかりやすく作られていて目を奪われました。「これは、誰が作られたのだろうか?」と日々、慌ただしい暮らしの中で心に留まるほど印象深いものでした。リーブス紙面からありがたい情報を頂くだけで数年が経過し、そのうち六小でもリーブスを配りたいと思うようになり五小&緑野小のリーブスさんに相談し、別に平成25年PTA サークル「六小リーブス保護者の会」が発足しました。立ち上げから早4年が経過、六小の全家庭へ学期に1号づつ配布して通級学級のご紹介や相互理解に努めて参りました。ここまでなんとかたどり着けたのも代表の川島さんをはじめ有志お母さん達のお蔭です。私達は、後にならえですが先駆者として活動を起こし紙面作成し、学校へ配布を開拓していくことは、とても大変だったとご苦労をお察しします。リーブス同志、紙面作成に協力し支え合う中で知り合いも増え、学校の枠を超え地域で住む人たちと繋がる心地良さも経験させてもらいました。リーブスをきっかけに特別支援教室に通う児童がいたり、理解が深まることで教室内の環境整備が進んだり、皆さんからは見えにくい縁の下の力持ちになって市内の小学生親子のために健全な環境整備されていった功績、その自発的な行動は、尊敬に値します。お忙しい中での作成ですが子ども達のため、保護者のために尽力された事を心から感謝します。今まで本当にお疲れさまでした。
ー11 ー
「特別支援学級」「特別支援教育」••••「特別支援」と付くものは増えたけれど、特別な支援って何でしょう?
それぞれの苦手な事を自己認識して、先生と一緒に克服できるように努力する事、もしくは努力する場所・・・・そんな風に言うのが正解かな?
確かに、自分の苦手を認識するのは大事だし、克服のための努力も大事。でも一番大事なのは、いろいろな特徴を持った子供たちが「自分はここに居てもいい」と思える雰囲気が学校にあることだと私は思います。
6年間、特別支援教育を受けてきたけれど、本当に苦手なことはそう簡単にクリア出来るものではありません。
学校にどうしても行けなくなった時は「行かない」のも選択肢の一つだけれど、一度行かなくなると復帰が難しいのも事実です。
様々な事情がある子供たちはケースバイケースなので一概には言えませんが、
「ここに居てもいいんだ」って思えたら、それが救いになる子もきっといるはずです。
リーブスの発行に参加させてもらって早4年、学習障害で読み書きが苦手な息子は、今年中学生になりました。
小さいときからおしゃべりで人なつっこい息子は、買い物先で気がつくとレジの内側で店員さんとニコニコ(相手も)話し込んでいたりと要領のいい子で、保育園時代は楽しく過ごしていました。頭の回転も速かったので、学校ではどんな才能を発揮できるのかと楽しみにしていたのですが、初めての家庭訪問、授業参観を経て、授業中の問題行動が先生から私に伝えられ、本人の顔つきも次第に険しくなり、何度注意してもできないことはできず、私は学校から電話がかかってくるたびに心臓が縮み上がる思いで低学年を過ごしました。
教育相談、WISC の検査を経て3 年生からふたばに参加し、学校に入って初めて息子のよいところを指摘してもらいました。学校に来る度びくびくしていた私も、明るい気持ちで参加できるふたばの保護者会に出会い、そこでリーブスと川島さんに出会いました。ふたば、
リーブスメンバーの両方の支えで、中学校では定期テスト時の配慮(時間延長)も実現しました。もしこれらの支えがなかったら息子と私はいったいどうなっていたでしょうか?
本人がTVで話していましたが、タモリさんは1度幼稚園に行ってみた時、みんなで踊ったり歌ったりしているのがバカらしくてやってられないと思い、親にそう言って、幼稚園へは2度と行かなかったそうです。もしかして、彼が後に才能を発揮できたのは、お母さんが無理矢理幼稚園に行かせなかったからではないでしょうか?
規格外の子供が大人になった時に、持てる才能を存分に発揮するためには大人はどう接したらいいのかこれからも息子と向き合って手探りで探していこうと思います。
ー12 ー
私の子供は男の子の双子で現在高校3年生です。今、ようやく高校卒業後の進路も決まり一段落しました。まだまだこれから試練は沢山あると思いますが、障害が判った当時はこんな日が来るのだろうかとお先真っ暗で悶々と過ごしておりました。
息子達に障害があるとはっきり判ったのは小学校1年生が終了する3学期も終わりの頃でした。初めてのWISC の結果を元に言われたのは「軽度精神遅滞」という事で、私が調べたのは先ずその言葉の意味でした。狛江教育研究所で教えて頂いた療育や通級の事も最初は誰にも相談できずに、一人になると泣けてくる日もありました。約2年間色々と悩み、迷い緑野小学校のふたば学級に通級開始したのは小学校4年生からでした。それまでは息子達の障害の事は世間に知られないように家族間だけで共有し、一人であれこれ模索していました。ふたば学級で悩みを共有できる保護者と知り合い、皆で集まりLeaves の原稿を考えたりして、徐々に考え方が前向きになり気持ちも楽になったのを覚えています。ふたば学級の最初の保護者会で皆様がとても笑顔で明るいので、緊張していた私はとても安堵したのを忘れられません。ふたば学級、Leaves との出会いが今の自分の生き方の基礎となっていると言っても過言ではないでしょう。良き仲間、理解者を得るという事は本当に一番重要な事だと切に思います。
まだまだ子育ては終わりません。これからは支援のない世界に息子達は進んで行くので大きな挑戦でありおそらく茨の道になるでしょうが、親としてできる限りの支援をしていきたいと思っております。また、諸先輩方の体験談が大変参考になったので、私も次の方たちに発信していきたいと考えています。そしてそれが世間一般に発達障害等の理解を深める第一歩になるような気がします。
ADHD…「あぁ、ダメダメ、はぁ?ダメダメ!」ってこと?皮肉な頭文字だな。
息子に発達障害の疑いを持った時、そんな言葉遊びが頭をよぎって勝手に悲しくなりました。
就学前に保育園の先生からのすすめでカウンセリングに通うことになり、情報が少ない中、長男の困難さをまずは自分が受け入れ、先生や身近なお友達のお母さんに相談しながら、一番身近で一番てごわい家族の理解を得て、協力体制を整えるのにおよそ2年かかりました。
通級が始まってからリーブスに関わるようになったのは「自分のように困惑している人がいるなら、当時自分がほしかった情報を届けたい」との思いからでした。始まってからは編集の仲間と情報を交換し合い、講演や療育に通い、発達の問題、子どもについて等、学ぶ事が多くありました。
感想をくださる方、声を掛けてくださる方、見守ってくれた同級生のお母さんお父さん方、子どもに向き合ってくださる先生方、励ましあい、愚痴をこぼしあえる編集の仲間との出会いに感謝です。
件の息子は思春期真っ盛り。無愛想この上なく、「親の話は聞かないキャンペーン中」です。
でも年齢相応の成長をとげて思春期を迎えていることは、とてもありがたい事でもあります。
もし、タイムマシンに乗って10年前の自分に会えるならこう言いたい。
「ADHD ? あら、ドンマイ。はい、大丈夫」
-13-